腎杯から膀胱、尿道までの尿の通り道を尿路といい、そこに体内の老廃物が石のようになって詰まってしまうのが尿路結石という病気です。
粘膜を刺激して痛みが生じたり、結石で尿道が塞がれて尿が出なくなってしまうこともあります。
犬も人間と同様に体内の老廃物を尿として排出しているので、尿路結石で尿が出ないと腎臓に障害が起こり、最悪の場合は尿毒症で死に至る恐ろしい病気です。
しかも一度発症すると、治っても再発しやすいので、非常に厄介な病気だといえます。
愛犬をそのような辛い病気から守るのには、どうすればいいのでしょうか。
タイプが2つある尿路結石
尿路結石とには、シュウ酸カルシウム結石とストルトバイト結石の2つタイプがあります。
原因は尿が酸性かアルカリ性に傾いてしまうためで、シュウ酸カルシウム結石は尿が酸性になることで発症するタイプです。
通常では腸内にあるシュウ酸はカルシュウムと結合して便として排出されますが、腸内のカルシウムが足りないと、尿道にシュウ酸が運ばれてしまうのです。
その結果、尿酸値が高くなりすぎてカルシウムが放出され結合し、シュウ酸カルシウム結石となり尿道を詰まらせてしまいます。
これに対してストルトバイト結石は、尿道や膀胱が感染することが原因です。
尿道が細菌に感染すると、尿はアルカリ性に傾いてしまい、尿に含まれている酸により溶かされるマグネシウムやリンが結晶化します。
この結晶が成長して結石となり尿道を塞いでしまうわけですが、その元なるマグネシウムやリンは日々の食事で摂取されるもので本来は犬にとって必要な栄養素なのです。
ですから摂取しないわけにはいかないので、この辺もストルトバイト結石が圧倒的に多い原因でしょう。
チェック用キットも流通
犬の場合は圧倒的にストルトバイト結石が多いといわれています。
ワンちゃんがトイレでおっしこをしている時、辛そうな鳴き声を上げたとしたら尿路感染による結石もしれません。
水を飲む量は変わらないのに何回もトイレに行くようになったり、尿が赤い場合も疑いがあります。
ただし尿路感染症が原因ですから結石かどうかの判断は見た目では無理ですが、方法が無いわけではありません。
理科の授業で使ったアルカリ性か酸性かを色の変化で調べる、リトマス試験紙を使ったことがありますよね。
じつは簡単に扱うことのできるPhチェッカーというキットが市販されています。
愛犬が尿道結石かなと思ったら、このPhチェッカーでペーハーを調べてみてください。
また普段から愛犬の尿の量も把握しておき、尿の量が少なくなってお腹を触って膀胱が膨らんでいたら尿道結石の可能性が大です。
日頃からの生活習慣で予防
では愛犬の尿路結石を予防するにはどうすればいいのでしょうか。
まず十分な水分補給を心掛けてください。
水分を多く摂ると尿の濃度が下がり、たくさん排尿することで尿度が浄化される効果もあるので、これも有効な対策の1つです。
犬が1日に必要とする水分量は、摂取カロリーの数字と一緒といわれています。
1日の摂取カロリーが350Kcalならば、350CCの水分が最低限必要ということです。
ちょっと意外かもしれませんが、木酸液を与えることも予防に役立ちます。
体内の老廃物を吸収して体外へ排出してくれるので、結石の原材料をもとから断つ予防的な働きをしてくれるわけです。
運動不足も尿路結石の遠因と考えることがでるので、毎日散歩させてあげてください。
散歩はストレス解消にもなるので、尿路結石以外の病気の予防にもなります。
食生活の改善も有効な予防策で、カルシウムやリンを過度に摂りすぎない、栄養バランスがよい無添加ドックフードを与えるように心がけましょう。
食事を変えたら尿路結石の再発率が、40パーセントから10パーセントへ下がったというデータもるほどです。
最近は尿路結石の予防を目的としたドッグフードも発売されていて、体内のマグネシウムやカリウムを一定以下に調整してくれる効果があります。
また腎臓や肝臓の働きをサポートするので、尿を適度なペーハーに保ってくれる効果も期待できます。
まとめ
しかしそれでも愛犬が尿路結石にかかってしまうことはあるわけなので、尿路結石かなと思ったらすぐに獣医さんに診てもらいましょう。
犬は言葉を話すことができませんし、ものすごく飼い主思いの動物です。
ですから辛くても我慢して元気なふりをすることもあります。
普段のスキンシップで、愛犬の健康には常に目を配っていれば病気は防げます。